特集:絵本で平和をつくる
「何でもありの、異界への入り口。河童も狐も青猫も、はたまた魔女やら妖精、鬼までも、何が住んでも不思議のない……」。
そんなキャッチフレーズの本屋さんが、東京の赤羽にあります。
小鳥を抱いた青い猫と、エプロンにも猫がいっぱいの店主の岩瀬惠子さんが迎えてくれました。
町のはずれに、話(わ)が集(つど)う子どもの本
青猫書房(東京都北区)
<二足のわらじで本屋さん>
閑静な住宅街にある「子どもの本 青猫書房」には、絵本と児童書を中心に約4000冊並んでいます。
『コトノネ』(21ページ参照)や水野スウさんと、その娘の中西万依さんの『ほめ言葉のシャワー』など見覚えのある本も。
「みんな、どこかでつながっているんでしょうね(笑)。
うちで憲法の関連講座をお願いした溝井留美さんが、スウさんのお友だちで、スウさんご夫婦もお店に来てくれました」
そう話すのは店主の岩瀬惠子さん。
地元・赤羽の出身で、「青猫書店」のあるマンションはもともと、ご両親の土地でした。
「社会人になってから、東京の杉並区で暮らしました。
杉並は住民運動が盛んで、人が集い、発信できる場があってうらやましかった。
そういう場が赤羽にも欲しいと、若いころからずっと感じていました」
20代のころは港区立図書館に勤務し、児童書を担当しました。
仕事にやりがいと面白さを感じた岩瀬さんは、クレヨンハウスや童話屋といった子どもの本の専門店に通い、多くの絵本や児童文学と出会います。
「日比谷の旧都立図書館の児童図書館員養成講座では、瀬田貞二さん(児童文学作家)の話を聞いたり、良質な知識を系統的に学びました。それが私のベースになっています。
小さいころから本は好きでした。
でも中高生のころは、太宰治、石川達三、埴谷雄高など大人の本ばかり。
もっと子どもの本を読めばよかった、と感じています。
大人のとき読むのとは違う感性で、受けとめたはずなので」
図書館の仕事は10年で退職。そのあとは子育てをしながら、土地家屋調査士事務所で長く働きます。
ちょうどそのころ、両親の土地相続の話が持ち上がり、文化の場と子どもの本専門店の計画が具体化します。 「童話屋(※1)の田中和雄さんが高校の先輩で、取次や書店組合の方を紹介してくれました。
ただ、書店だけで食べてはいけません。
勤めていた調査士事務所も応援してくれたので、二足のわらじでいこうと決めました」
(※1)1976年設立。児童書・詩集および関連書籍の出版を行い、田中和雄氏が編集長。
「青猫書房」の小鳥を抱いた青い猫 写真/堂本ひまり
続きは パルシステムが発行する地域と暮らしの課題解決マガジン
『のんびる』1・2月号をご覧ください。
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