20年におよんだ3人の親の介護と介護疲れでうつ病などを患った経験から、
ケアラー(家族などのケアをする人)が気軽に悩みを話せる場をと、
モンステラを営む山田由美子さん。
ひと部屋から始めた「住み開き」は大きく発展しています。
自分に心地よいことを 探してやってきた
ケアラーズカフェ モンステラ(神奈川県相模原市)
<話せなかった介護中の思い >
「母を連れて温泉に来れることはもうないんだと思ったら、涙が出てきてしまって……」
在宅で介護していた実母をショートステイに預けて、
夫婦で温泉に行った折、母娘が湯に浸かる光景に涙があふれたことを、
山田さんは夫に話すことができませんでした。
たまには息抜きをと温泉旅行に連れ出してくれたのに、口に出すことがためらわれました。
「親の介護、とくに認知症の親の介護をしている人だと、
家族だから言えないことがけっこうあったりするんです」と、山田さんは振り返ります。
涙もろくなるのはうつ病の初期症状でもありました。
「母の本格的な介護が始まったのが38歳のとき、息子2人はまだ小学生と中学生でした。
友達に話しても、まだ誰も介護の経験がないから伝わらなくて。
それで、自然に病院や介護のことは話せなくなってしまって」
介護保険制度創設前の1990年代半ば。
糖尿病による多発性脳梗塞で始まった母の在宅介護は、
入退院を繰り返すなか認知症も加わり、
家族を支える主婦の由美子さんに自由な時間がなくなっていきました。
そんな介護生活が7年続いたとき、それまで元気だった父が突然、
駅で倒れて救急搬送され、末期がんがわかり4か月後に他界。
療養病院で母を看取ったのはその7年後でしたが、並行して、
都内で一人暮らしをしていた義母宅に通って見守り、
義母が介護付き老人ホームに入居した後も面会などを続けました。
医療機関や訪問看護、地域包括支援センター、
介護事業所等と濃厚に関わった足掛け20年、
心身の疲労は病となって山田さんに現れていました。

モンステラの山田由美子さん(左)と豊徳さん
写真/堂本ひまり
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